進路部長講話2017 vol3

私はこの一年ずっと、〇〇高校生はこんな〇〇高校生であってほしいと言い続けてきました。
覚えていますか?

モテる〇〇高校生であれ。

ということです。
”モテる”とは、人からキャーキャー言われてたり、チヤホヤされることではなく、他人を幸せにできることでしたね。

簡単な質問をするので考えてください。
AさんとBさんには好きな人がいます。
Aさんは「どうしたら、あの人と付き合えるだろう?」と、
Bさんは「どうしたら、あの人は喜んでくれるだろう」と、
考えていました。
AさんとBさん、どちらがモテるでしょう?
AさんとBさん、どちらと付き合いたいですか?

Aさんだと思う人?
(皆無)
Bさんだと思う人?
(大多数)

当然、そうですよね。
モテるということは、Bさんのような考え方ができるということです。
では、Bさんの考え方は何が違うのでしょうか。
Bさんがモテたのは、未来のことを想像したからです。
Aさんの未来とBさんの未来では、射程距離が違います。
Aさんの考え方は、付き合うこと自体が目的ですが、Bさんの考え方では、付き合うことは通過点にすぎません。
ほんのささいなことですが、その想像力こそモテるには必要なのです。


香川大学が創造工学部という学部を新設するということで、その新学部の入試問題のモデル例題が発表されました。

「10年後(2028年)の未来を想像し、解答しなさい」

驚きましたか。
従来の入試が重視した知識量や情報処理能力ではなく、どうモテるか、つまり、未来を想像する力に重点を置いた問題であることは言うまでもないでしょう。
何も入試問題を解くために、想像力が大事と言っているのではなく、そういった未来を想像する力は、進路を実現する原動力だからこそくどいほど強調するのです。

3年生は、国公立推薦入試に〇名、合格しました。
就職試験、私立大学、専門学校など、たくさん生徒が進路を実現しています。
この中で、私も何人かの生徒の面接練習を行いましたが、こんなことを言う生徒がいました。

志望動機を問うと、
「私は、差別をなくしたい。差別をなくすためには、なぜ差別が起きるかという人の心を知らなければいけない。差別の歴史を知らなければならない。差別が生まれる社会的背景を理解しなければ、差別はなくならない。だから、私は〇〇大学の〇〇学部、ここでしか勉強できないから、ここを選びました」とはっきり言いました。

また、ある生徒は、偏差値的にはもっと上の大学を目指すことができたにもかかわらず、
「私は、ある海洋生物を研究したい。しかし、この海洋生物を研究できるのは全国でも〇〇大学の〇〇学部しかないから、ここを志望しました」と言って、推薦入試に合格しました。

つまり、彼女たちは未来を想像していたのです。
何年後かの自分を想像し、具現化できたから、進路を実現することができたのです。
1・2年生も、未来に目を向けてください。
未来を想像するということは、自分と向き合うということですから、楽しくもあり、苦痛も伴います。
ですが、悩みから逃げないでください。
悩みは大きければ大きいほど、多くの人を幸せにします。
先ほどの「差別をなくしたい」というのも、悩みの一種です。
そして、世界史上で最も大きな悩みを抱えたのは、ブッタやキリストでしょう。
「どうしたら人を救えるか」という途方もなくどでかいスケールの悩みが、偉大なる宗教家たちの出発点です。
1・2年生は、大いに悩んでください。
その悩みに宿る未来こそ、進路を実現する原動力になります。

進路を実現するにあたって、未来を想像する力が重要であるということは理解できたと思います。
でもそれだけでは駄目です。


勉強をやめなさい。


3年生で、現時点で勉強している生徒は一人もいません。
相変わらずおかしなことを言っているとお思いでしょうか。
勉強というものは、勉めて強いられるものです。
人からやらされるものです。
受験を目の前に控えた3年生が、人からやらされた勉強、人から押し付けられた勉強をしているでしょうか。
志望校に合格するために必要な問題集や参考書を自分で選び、自分で学習計画を立て、自分と戦いながら必死に机にかじりついています。
人からやらされていません。
主体的に学んでいるのです。

1・2年生は、人からやらされていませんか。
勉強させられてませんか。
自分の未来は、自分しか知らないはずです。
自分の未来を切り拓くための努力をしなさい。
その努力する方法や方向は一人一人違います。
だから、自分で考えて主体的に学ぶ必要があるのです。
やらされる勉強からは、今すぐ脱却してください。
自信をもって脱却できたと言える人は、未来への第一歩を踏み出したといっても過言ではありません。

最後に、もう一度言います。
勉強をやめなさい。


未来を想像し、主体的に学ぶことのできるモテる〇〇高校生が、一人でも増えることを期待して進路指導部長の講話とさせていただきます。