進路部長講話〜其之四〜

この壇上でみなさんに話をするのは4回目になりました。
1回目は、勉強することがかっこいい○○高校生
2回目は、勉強することが当たり前な○○高校生
3回目は、なぜ勉強するのかという使命をもつ○○高校生
についてでした。
この3回で私は進路実現における大切なことの全てを語り尽くしたつもりでした。
勉強する集団、努力できる才能、志、全ての進路指導の生みの親(サンシャイン池崎風、本当はジャスティスと叫びたい)
これらは勉強だけでなく、生きる上でも最強の武器となりうるものなので、もう話すことは何もないというのが正直な気持ちでした。

しかし、ある問題に出会ったとき、語らなければいけないことがまだあることに気づきました。
それが次のような問題です。

「あなたは暴風雨の中、車を運転しています。バスの停留所に差し掛かった時、3人の人がバスを待っているのが見えました。

①危篤らしい老婦人
②かつてあなたの命を救ってくれた旧友
③あなたが夢にまで見た完璧なパートナー

あなたの車にはあと一人しか乗せることができません。
誰を乗せますか?」

答えを聞いてみます。
①の老婦人を乗せる人は手を挙げてください。
(まだらに手が挙がる)みんな、結構冷たいですね。死にかけているのにwww
②の命の恩人を乗せる人は手を挙げてください。
(大多数が挙手)へぇ〜、○○高校生は仁義が厚いんですね。
③の恋人を乗せる人は手を挙げてください。
(数人が挙手)正直でいいね。

これ以外の答えの人はいますか?
(数人が挙手したので、一番後ろの方で挙手をした男子を指名して大声答えてもらう)
生徒「②の友達に車を貸して、①の老婦人を病院に運んでもらい、自分は③の恋人とバスを待つ」
(思わず拍手する私(感動))

もちろん正解はありませんが、このように自分で答えを作り出すことが求められているのです。
なぜだか分かりますか?

AIの登場によって社会が変わってしまったからです。

AIはもうすでにみんな生活の一部となっています。
携帯電話の中にAIは組み込まれていますし、GUでは無人レジamazonショップではレジすら存在しない店舗が実験的に運用されています。
このAIはすでにMARCH・関関同立レベルの大学に合格する力を持っています。
決められたルールの中での選択作業、ちょっとした定型文の作成くらいなら、いまやAIが十分担える時代になったのです。
つまり、AIの浸透によって、多くの職が代替されるかもしれないのです。
「〜になりたい」と考えて進路決定した職業そのものがなくなる可能性があるのです。
だから君たちには、繰り返しになりますが、「〜したい」という志をもった進路選択をして欲しいのです。
そして、社会を知らなければ、夢は実現できないどころか、夢そのものが幻になりうるという現実を理解してください。


では、社会を知るにはどうすればよいのでしょう?
人・本・旅の3つの学ぶ方法があります。

人・旅は高校生にとって様々な制約があって、手段としては実用的ではないかもしれません。
ですが、本は読めます。
いますぐにでも、どこでも、どれだけでも読めます。

これから春休みやって欲しいことを3つ言います。
一つ目は、春休みの間に最低1冊の本を読んでください。
私は、この講話をするのに、10冊以上の本を読みました。
たった10分の講話をするだけなのにです。
翻って、君たちの場合はどうでしょうか。
自分の人生を決めるのに、1冊の本も読まないなどありえない。
ネットの情報や、みんなが受けるから、先輩にすすめられて、などなんとなく、進路を決定していませんか。
大学に進学する人は、おそらく人生で2番目に高い買い物をすることになります。
私の場合はマイホームの次に高い買い物でした。(特に2回も大学に行ってるから。車と比較しても高級車より高い。)
自分の進路ぐらい自分で考えて決めないと後悔します。
ただし、自分を信用してはいけません。
高校生にみえる世界など狭い。
本を読み、その豊かな世界から、あなたの進むべき道を見つけてください。

二つ目は、卒業生が言っていた言葉から伝えたいことがあります。
「受験勉強とは、志望校の入試問題を解く学力を身につけること」という言葉です。
春休みの間に、さきほど言ったように本などを活用して、志望校を見つける努力をしてください。

プロレスファンなら、三つ目は特にありませんと言いたいところですが、あります。
先の卒業生の言葉にある入試問題を解く学力を身につけて欲しいのです。
1・2年生に入試問題など解ける訳がないとお思いでしょう。
しかし、センター試験の8割は1・2年生の内容で構成されています。
つまり、この1年間で学習してきたことを復習すればいいのです。
模試や定期考査はやりっ放しにしていませんか。
ほとんど開けていない問題集はありませんか。
新しいことをする必要はありません。
これまでやってきたこと・できなかったことをやりきる時間を作ってください。


最後に、「進路通信」でも春休みの過ごし方を特集しているので、有効に活用してください。
そして、社会を知る○○高校生が増えることを期待して進路部長の講話とさせていただきます。