進路部長講話〜其之弐〜

この壇上でみなさんに話をするのは4月の始業式以来です。
そのとき、みなさんに質問をしましたが、覚えていますか?

では、もう一度同じ質問をここで聞いてみたいと思います。
何度も言いますが、こういう場面で自分の意思をあらわすことができる子はすごい人です。


勉強することはかっこいいと思っている人は手を挙げてください。
(3年生と1年生が多数挙手。2年生は少数)

3ヶ月前とは比べものにならない数の生徒が手を挙げてくれました。
カッコいい○○高校生が増えてきたことを嬉しく思います。
ならば、きみたちには次のステップに踏み出してもらおうと思います。

勉強することを当たり前にすることです。

私はこのシンプルな言葉に、2つのメッセージを込めました。
1つが勉強を“する”という部分です。
ただ座って授業を聞いていることは勉強することにはなりません。
みなさんは夏休みの補習を登録しただけで満足していませんか?
3年生は1限目から6限目まで補習を申し込んでいませんか?
言い方は悪いですが、そんな生徒は学力は伸びません。
なぜなら、すでにその時点で受け身だからです。
勉強をするということは、主体的な学びをするということです。
ただ与えられるものを待っている生徒は、消化不良を起こしがちで、同じ過ちを繰り返します。
勉強をしているのに、学力が伸びない生徒が陥るピットフォールです。
野球に例えてみると、ただ授業に出席しているだけの生徒は、野球の試合を見ているだけに過ぎません。
いくら野球の試合を見ても、野球はうまくなりません。
野球がうまくなりたいなら、グランドに出て、ボールを投げ、バットを振らねばなりません。
勉強も同じです。
学力を伸ばしたかったら、自分の頭を使って問題を解き、自分に合った勉強法を開発しなければなりません。
それを主体的な学びと言います。
勉強をさせられているうちは学力は思ったほど伸びないでしょう。
学力が伸びた生徒に共通することは、勉強をしているのです。


もう1つが、字面通り勉強することを当たり前にすることです。
イチロー選手はこう言っています。
「特別なことをするために、特別なことをするのではない。特別なことをするために普段通りの当たり前のことをする」
天才と呼ばれる歴史的なプレーヤーであるイチローでさえ、24時間365時間野球のことを考え、野球することを当たり前にしているからこそ、数々の偉業を成し遂げることができたのです。
才能や環境のせいにするのはやめましょう。
同じ高校生の能力に大した差などありません。
努力の総量が結果となって表れているだけです。
イチロープロ野球選手ですが、君たちは勉強のプロになってください。
つまり、勉強することを当たり前にするのです。
その積み重ねが、とんでもないところへ行くただ1つの道です。


そうはいっても、勉強することを当たり前にするのはそう簡単なことではありません。
前も言いましたが、私は最近プロレスにハマってます。
プロとしてリングに立つレスラーに共通していることがあります。
何だかわかりますか?

それは、必殺技です。
棚橋弘至ならば、ハイフライフロー。
中邑真輔ならば、ボマイェ。
オカダカズチカならば、レインメーカー
どれも一撃必殺の技で、ほぼ100%これらの技で相手を倒します。
1・2年生は、必殺技となるような得意教科を手に入れてください。
好きなことなら毎日続けられるでしょう。

プロレスの醍醐味は、その必殺技を食らって立ち上がれるかどうかの場面にあります。
試合が決まったと思ったその瞬間に、カウント2.9秒で技を返したとき、会場は宇宙空間と化します。
その瞬間に立ち会うために、会場まで足を運んでいるといっても過言ではありません。
何が言いたいかと申しますと、3年生にとって、この夏休みはかつて経験したこともないくらいとてつもなく苦しい夏休みになるでしょう。
「夏を制した者が受験を制す」
という受験の世界の普遍的真理があります。
裏を返せば、このしんどい夏休みという壁を乗り越えられなかった受験生がたくさんいるということです。
君たちは必殺技を食らって倒れているレスラーの気持ちを想像してほしい。
このまま寝ていれば楽になれるのに、何度も立ち上がる。
なぜでしょう。
その後に、大きな感動が待っているからです。
きみたちも苦しくなったら、プロレスのことを思い出してください。
決して倒れない不屈の精神力で、夏休みという大きな壁を乗り越えてください。
これから先の人生で何度も壁にぶち当たることがあると思いますが、一度壁を乗り越えた者は、何度でも乗り越えることができます。
その経験は、一生の財産となります。
そして、1・2年生は、3年生の姿を目に焼き付けておいてください。
きっと君たちの未来の力となり、勇気づけてくれます。


君たちには、学び続けられる人になってほしいと思っています。
この変化の激しい時代を、学生時代の知識や技術だけで乗り切るなど自殺行為です。
ガラケーの例を持ち出すまでもなく、現在の最先端の技術など、数年で陳腐化してしまいます。
アメリカでは「小学校に入学した子どもたちの65%は大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」とさえ予測されています。
つまり、卒業して、社会人になっても、学ぶことは終わらないのです。
学びはエンドレスです。
だからこそ、勉強することが当たり前という習慣を、高校時代に身につけてほしい。
きっと、いや必ず君たちの未来を切り開く最強の武器となります。


最後に、進路指導部から発行している「進路通信」で、夏休みの過ごし方の極意を示しているので積極的に活用してください。
この夏で勉強することが当たり前になった○○高校生が増えることを期待して進路部長の講話とさせていただきます。